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JLPT N1 12/2018 (Read) – 2018年12月日本語能力試験 N1

JLPT N1 12/2018 (Read) – 2018年12月日本語能力試験 N1
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JLPT N1 12/2018 – Part (Read) with Answers

問題 7 次の文章を読んで、[41]から[45]の中に入る最もよいものを、1・2・3・4 から 一つ選びなさい。

装飾という架け橋

「自然には直線がありません」 ― 子どもの頃テレビから聞こえた言葉に、幼いながらはっとしたことを覚えて いる。その情報が正しいのかを確かめるために、それ以来自然をよく観察するようになった。地を這う蟻や、道 ばたの植物、切り立った崖の岩に、たしかに完全な直線と呼べるものは(41)。そして自分の身体にも直線が存 在しないことに気づいた。爪の一枚から歯の一本、耳の内部にいたるまで、全ての輪郭はゆるやかな弧を描い ている。

(42)、身の回りには直線が溢れてもいた。机や鉛筆、黒板、箸やマグカップ、お菓子の箱に直線は存在してい た。自然の造形と人工の造形に明確な差異があることを理解したのは (43)。大人になるにつれて、そんな人工 物の表面を覆う「装飾」に関心を持つようになった。植物や動物、空や星をかたどった色とりどりの模様に目 を奪われたのだ。装飾の歴史は古く、紀元前に作られた土器の模様は、装飾が人類にとっていかに根源的な 行為であるかを示している。

(44) 最古の装飾は魔除け(注 1)のために用いられたのだという。そうと知って最初のうちは、人の手跡(注 2) を残すことが魔除けのために重要なのだと考えていた。しかし、たとえば縄文土器がその模様から火焔土器と 呼ばれるように、他の渦や縞の模様も、雲の流れや水の波紋など自然の織り成すかたちに着想を得たもので ある。つまり人間は、土器という人エの造形に自然のかたちを刻むことで魔除けとしたのだ。自分たちの手作 った自然とは異質な造形を自然に溶け込ませることが、邪悪なものを遠ざける道であったのである。

歴史上、装飾は余分なものとして排除されたこともあった。しかし実のところ、装飾は私たちの造形と自然の 造形とをつなぐ架け橋という至要な(注 3) 役割を(45)。

(注 1) 魔除け:悪い物を近づけないようにすること
(注 2) 人の手跡:人の手を加えた跡
(注 3) 至要な:とても重要な

41).

1. 見つけられなかった
2. 見つけられなくなった
3. 見つけないようにした
4. 見つけようとしなかった

42).

1. むしろ
2. 一方で
3. しかも
4. それどころか

43).

1. その時ぐらいである
2. その時だからである
3. その時のためである
4. その時のことである

44).

1. その他の
2. 例の
3. こうした
4. 以下のような

45).

1. 持っているのだ
2. 持っているべきだ
3. 持っていてほしい
4. 持っていてもかまわない

Answers:
問題 7
41) 1.
42) 2.
43) 4.
44) 3.
45) 1.